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ESOPRSを終えて
9/18にナポリからフランクフルト経由で帰還しました。
はじめてのヨーロッパ学会でしたが非常に実りになりました。
ヨーロッパにはヨーロッパのコミュニティがあり、独特の雰囲気や有名な先生を何人か知ることができたので今後のお勉強や人脈開拓に活かしたいと思います。
海外学会に何個か行って思ったことですが、ASOPRS以外の眼形成系の学会は若手医師が参加している国が少ないです。
有名な先生は当然たくさん出席しているのですが、その弟子にあたる人がいないのが寂しいなと思いました。
しかし、そんな中自分が出席できていることは本当に贅沢な体験をしているんだなとも実感できました。
一方で自分より後世に色んな意味で投資をしていって次につなげなければならないという責任も感じました。
また、世界中に同年代の眼形成眼窩外科を志す仲間をもっと増やしたいです。
シンガポールの研修医達やAsan medical centerで出会ったJosephやYeong Aのような同年代の仲間がいれば国を超えてみんなでレベルアップしていけます。今後も学会や見学という場をフルに活かして輪を広げていきたいです。
そしてそのためには名刺代わりとなる論文を書かなければならないので、今悪戦苦闘中です。。。。頑張ります。
追加でESOPRSで学んだことを書きたいと思います。
1つ目はIran University of Medical SciencesのNasser Karimi先生の発表です。
ちなみに既に論文化もされているみたいです。
裏ハムラの時にOrbicularis retaining ligamentを外した後、Goldberg methodであればfat pediculeをligamentの下にrepositionするのが伝統的なやり方です。しかし、Karimi先生はmincedした眼窩脂肪をligamentの下に置いてきてそのまま終了という術式を行っていました。
固定しなくもいいのかな、、とか、眼窩脂肪をミンチにしてる時間があればrepositionした方が速いのでは、、、?
とも思いましたが、、、
最大の長所は抜糸を要さずに従来の方法と同等の結果を期待できる、という点です。
手術はより低侵襲になっていくべきなのでもしかしたら裏ハムラのやり方もだんだん変わっていくことが想像されます。
オキュロでもハムラをより低侵襲に、かつ効果を最大にするために色々な思案が行われています。
今後そういうところもデータ化していきたいと思いますのでお楽しみに。
2つ目はWashington UniversityのPhilip L. Custer先生です。
この先生も論文を既に出しています。
Hatchet Flapは僕も勉強不足で知らなかったですが、内眼角や下眼瞼欠損症例に対して中顔面を用いた再建です。
Philip L. Custer, 2018
自分はまだまだ再建術が得意とは言えないですが、このような再建があることがしれてよかったです。
Philip L. Custer先生は70例で4例の肥厚性瘢痕、1例の瘢痕性眼瞼外反を認めるのみで他合併症がなかったとのことでした。
適応症例があればぜひトライしてみたいです。
最後がイギリスのQueen Victoria HospitalのK Ziahosseini先生の発表です。
機能性流涙症への涙腺ボトックス注射についてです。
経結膜で眼瞼部涙腺にボトックスを2.5〜5単位投与することで、涙の分泌に必要なアセチルコリンのシナプス前遊離が阻害され、流涙評価スケールの1つであるMunk scoreが低下するという内容です。
今回の新しい内容は適切に投与すればC-DCRと同程度のMunk scoreの改善が得られるという驚くべき内容でした。
機能性流涙の症例があまり多くないので治療経験はありませんが、今後積極的にやってみたいと思います。
以上です。やっと涼しくなってきましたね。食欲の秋ですが食べすぎずにいきたいと思います。
最後にナポリの朝日です。本当に良い思い出になりました。皆さんありがとうございました。
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |