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裏ハムラ法 解剖に基づいて
今日もよろしくお願いします。
最近本格的に学会活動が増えてきました。
それに伴って医療統計・論文投稿って本当に難しい。。。と切に思います。
学会発表と論文投稿ってよく肩を並べられますが、エビデンスレベルといくと圧倒的に論文の方が上です。
学会発表だとdiscussionできるということは最大の利点ですが、単発的になりがちです。
国際的な知名度を考えると論文の方が大事です。論文投稿だとpubmedに名前が残ります。
医療統計とか研究デザインの仕方、倫理委員会などまだまだ学ぶことは山積みです。
臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意
(すべての臨床医に捧ぐ超現場重視型の臨床研究指南書)
少し古い本ですが、この本がとっつきやすくわかりやすいかと思います。
「学会や論文やんないとなぁぁ。でもよくわかんないしなぁぁ。」って思ってる方々にはよいかもしれません。
さて1年くらい前にも裏ハムラ法について述べましたが、また改めて紹介したいと思います。
1年たってみてもなかなか難しい上に修正も難しいです。💦
ASOPRSで思ったことのひとつですが、foreheadとmidfaceは独立した一つの分野なのではないかというくらい奥深いです。自分は涙道・眼瞼、眼窩の手術をやりますが、foreheadとmidfaceの手術はまだまだ発展途上です。
本日はmidfaceについて語ります。
下眼瞼の脂肪ヘルニア、いわゆるBaggy eyelidという状態では表情が疲れたように見え、年をとった外観の原因となります。
そもそも老化した顔つきってなぜ起きるのでしょうか?
midfaceの加齢性の変化を見た時にまずは骨格は下図のように変化します。
図のようにmidfaceでは上顎骨が著しく後退します。
その結果軟部組織は支えを失い、たるんだような印象に見えます。
軟部組織は靭帯のある部分は骨に固定されており、ない部分は支えがなく垂れ下がります。
すると中顔面は3区画に分けることができます。
中顔面の軟部組織を回復し若返らせるためには、これらの老化の変化が起こっているレベルで直接外科的に対処することが論理的なアプローチとなります。つまり、骨に付着している軟部組織を外し、外した軟部組織をならす もしくは 切除することが必要です。
この図の青いエリアは剥離が容易ですが、裏を返すとこの青いエリアの間にある靭帯をしっかり外してあげないと病態は改善しないです。特に硬いのが内側のtear trough ligamentです。ここが一番溝が深くなる傾向にあるためしっかり外してあげます。外した靭帯の真下にorbital fatがあれば病態は再発することはないでしょう。
画像はPlastic Surgery: Principles and Practice, 65, 1016-1029 から引用です。
「靭帯を外すんですか!?怖い!!」という意見は当然です。報告を見てみましょう。
下記の論文では105症例、平均経過観察期間31ヶ月という期間で評価しています。
99%に下眼瞼下垂や外反などの合併症が起きなかったとのことです。
また、しわと隆起が軽減し笑顔が若返るという結果でした。
長期成績で見ても安全な手術と言っていいのではないでしょうか?
ちなみに一番むずかしいのがこういう瞼の人です。
男性に多いのですが、眼窩脂肪が突出が大きく外側まで弛んでいるのが特徴です。
この場合だと
①そもそも瞼が厚いためアプローチが大変。
②脂肪を移動させるだけでなく一部切除しなければならない。特にlateral orbital fat。
こういう難しい人を言い訳せずにしっかり治せるのが名医だと思います。
今はまだ難しいですがしっかり治せるように頑張ります。
今日はここまでにします!ありがとうございました!
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |