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内下壁骨折における下斜筋切離について
2月23日-26日のThe 38th Asia-Pacific Academy of Ophthalmology Congressのポスター発表が決まりました。
oralでの発表じゃなくて非常に残念ですが、初の海外学会への発表ということでワクワク感と不安の両方があります。
場所はクアラルンプールです。
こういう学会に演題を出し続けないと、日常診療がアップデートされずにマンネリ化してしまいます。
開業してしまうと日常診療に追われて学会活動が疎かになりがちだと思うのでこういう努力は継続していきたいと思います。
しかも、学会に演題を出すと経費で海外に行けるので僕からするといいことばっかりです。
さて本日は内下壁骨折における下斜筋の切離についてです。
下壁と内壁の複合骨折の場合、下壁アプローチもしくは内壁アプローチのみでは術野が狭くプレートが入れられないことがあります。その場合には下壁と内壁のアプローチを別々にして最後下斜筋の付着部を骨から外して術野を広げる方法があります。
そもそも下斜筋って外していいのでしょうか???
初めて聞いた時は「カシャをハズス??え??」って感じでした。
それに関しては
で述べられています。
眼窩骨折や甲状腺眼症において内側眼窩に到達する際に元々はLynchアプローチが普及していました。
Lynchアプローチだと皮膚切開や涙道系損傷などのデメリットが散見されました。
上記の報告では経涙丘アプローチ(涙丘の外側1/3を12mmの垂直切開)で皮膚切開をせずに内側眼窩に到達できることを報告しています。その中に下斜筋を骨から外すという記載がありました。
この方法だと皮膚瘢痕を残さずに優れた術野展開ができて、かつ合併症も少ないと述べられています。
これは当院でも採用している方法ですが、術後の複視って大丈夫なのでしょうか??
この論文で評価されています。
一度下斜筋を外して後に6-0 polyglactinで同じ場所に固定しています。
上記は結果ですが、20例中2例を除いてほとんどの人は1〜6ヶ月で寛解しています。
複視の残存を認めた2例に関しては、術前から下斜筋の機能低下を認めています。
このような場合には下斜筋の切離は検討する必要があるということでした。
内下壁骨折の場合、下壁や内壁の単一アプローチでは術野が不十分なことが多いです。
また、骨折を再建する際はインプラントの偏位を避けるために1枚プレートで再建した方がよいという考え方もあります。
内下壁への下斜筋切離を伴う経結膜アプローチは非常に有効な手段であると言えると思います。
今日もありがとうございました。
青森の実家からりんごが届いたので頬張りたいと思います。
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |