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Krönlein’s operation(lateral orbitotomy)
眼科専門医試験無事合格いたしました!謎の2次審査?なるものがあるのですが、おそらく大丈夫かと願っています。
応援していただいた方々、上司・後輩の先生方、直前まで悩みを聞いてくれた友人・家族に感謝申し上げます。
専門医はゴールではなく通過点に過ぎないので今後も進み続けます。
最近気がついたら1週間の手術件数がだいぶ増えてきていることに気がつきました。
7/5 眼瞼下垂3件 腫瘤切除1件 眼瞼内反1件 白内障6件
7/6 眼瞼下垂3件
7/7 小児霰粒腫1件 眼瞼下垂4件
7/8 他院術後修正眼瞼下垂1件 脂肪減圧1件
7/9 眼瞼下垂3件
7/10 眼瞼下垂2件 腫瘤切除1件 霰粒腫1件
7/11 皮弁形成術 1件
いろんな病院を回って週7手術している状態です。
好きな手術ばっかりやっているので非常に楽しんで手術できています。
自分のような年次でここまで手術ができるなんて本当に感謝です。
今後もたくさんの患者様に手助けになれたらと思います。
さて先日は眼窩腫瘍に対するKrönlein手術を経験させていただきました。
(クレーンラインと読みます。ちなみにöの点々は「ウムラウト」というドイツ語に使われる記号です。)
そもそもKrönleinってなんよ?っていう眼科医の方がもしかしたら多数派かもしれません。
ちなみに今年の専門医試験の選択肢として出てきました。
昔からある骨を外すタイプの眼窩アプローチ法です。
最初に行われたのは1889年で甲状腺眼症を対象に眼窩外壁の切除を行い眼窩脂肪の脱出行ったものです。
その後眼窩アプローチ法は患者負担が軽減する方向へ進化してきました。
しかし、現在でも大きな眼窩腫瘍(特に涙腺腫瘍)などは皮膚を切開し、骨を外す作業が必要になります。
眼窩腫瘍の部位による分類、またアプローチ法の利点欠点、Krönlein法のおおまかな手順を挙げます。
Schmidek and Sweet: Operative Neurosurgical Techniques, 7th Ed
実際経験した流れを説明します。
下の図のように重瞼線切開は外眥を超えてcrow’s feetに沿って頬骨までを目安に切開します。
次に眼窩隔膜を切開し、その後眼窩外壁を剖出します。
外壁が出たら15番メスで骨膜切開します。
骨膜剥離後にノコギリで骨の切開を行います。目安は頬骨弓の上縁〜頬骨前頭縫合の上です。
この時に皮膚や眼窩組織を切り込まないように注意が必要です。
外壁を外すと途端に視野が広くなります。
その後は腫瘍本体にシルクなどで牽引をかけて被膜を破らないように丁寧に剥離を行います。
今回の腫瘍は涙腺からの連続病変だったため、涙腺の眼瞼部を温存し眼窩部毎切除を行いました。
最後に外した骨を戻し、骨膜を5-0シルクで縫合し閉創としました。
一見ダイナミックな手術に見えますが、適切なアプローチで行えば非常に安全に手術が行えます。
早く鹿嶋先生の指導がなくとも亀田総合病院で単独でこういう手術ができたら素晴らしいなと思います。
眼形成眼窩外科分野は千葉県の外房、房総地区ではできる人がおそらく自分しかいないです。
この専門分野で長くこの地域に貢献したいなと思っています。今後ともよろしくお願い致します。
ちなみに瞼や睫毛のことでお悩みの場合
「まぶたの悩みがあります。」「眼形成外来の菊地先生にかかりたいです。」
とおっしゃっていただければ僕の予約が取れますのでご希望の方はお待ちしております。
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |