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眼窩骨折の術野の見え方
今日もよろしくお願いします。専門医試験まで2ヶ月を切りました。
試験が近づくにつれ、ブログの更新頻度が落ちてきております💦
専門医試験が終わるまではしっぽりと投稿させてください。
段々と亀田病院に「このブログを見てますよー!」という患者様がいらっしゃっていただけるようになってきました。
照れも感じますが、率直に嬉しいです。
このブログを続けることでまぶたで悩んでいる方々が受診してくれる度に小躍りしてしまいます。
今後も継続的に更新致しますのでゆるりと見ていってください。
最近眼窩骨折を執刀する機会が増えてきました。
眼窩の中は最初は迷路です。しかも癒着や偏位があるとさらにわかりづらいです。頭を悩ませます。
本日は手術時の写真を参照しながら、実際の術野と解剖の比較を行いたいと思います。
まずはプレートを置く場所ですが、眼窩内においてはダメです。
アプローチ時に必ず骨膜下にプレートを置かないと眼窩脂肪が損傷します。
また、プレートや骨折部位への眼窩脂肪の嵌頓があるとその眼窩脂肪と共に外眼筋プリーやfat pad全てが牽引されるため外眼筋へ影響し複視を生じます。下記の写真のように骨膜下で入るように心がけます。
下方rimにて骨膜を切開する時に内側にいくと下斜筋付着部があります。
黄色い点線は下斜筋、青で囲ったところは眼輪筋です。下斜筋の付着部には眼輪筋が近くまで走行しているためその間の骨膜に切開を加え、下斜筋を骨膜ごと外していきます。そうすることで左右に広く術野を展開できます。
さらに骨折部位にアプローチしていくにあたって基本的には骨折のヒンジ部位から眼窩脂肪の嵌頓を解除しに行きます。
眼窩脂肪を痛めないように嵌頓を解除しますが、脂肪が上顎洞粘膜と癒着している時には脂肪を粘膜から剥がす作業が必要になります。
どの組織にも言えることですが、癒着のある組織を剥離するためにはある程度力が必要です。
正常組織と瘢痕組織の肉眼的な違いは沢山症例を経験しないと見分けがつかないため眼窩骨折の習熟は奥深いと思います。
粘膜との癒着を剥離していくと一緒に眼窩下神経が持ち上がってくることがあります。
神経線維を確認し神経を損傷しないように周囲との剥離+骨膜の処理を行います。
矢印で示すのが眼窩下神経です。
まだまだ眼窩先端部に近いところの処理は難しいですが、段々眼窩という世界がわかってくることは非常に楽しいです。
専門医試験でもその分野の問題を間違えた時の悔しさたるや…。
今後も専門突き詰めたいと思います。今日もありがとうございました!
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |