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瘢痕性下眼瞼外反・皮膚移植について
今日もよろしくお願いします。
専門医試験まであと3ヶ月と少しとなりました。かなり焦ってきました。
仕事の合間の試験勉強ってなかなか身が入らないです。センター試験や医師国家試験は勉強以外にdutyがなかったですが働きながらの勉強って改めて大変だなと痛感しています。
先日オキュロのHP用の写真をこちらのスタジオで撮影させていただきました。
細かい丁寧な仕事をしており、多少無理な要望でも精一杯対応してくれます。
自分は写真に疎いのですが、本当に写真が好きなんだぁ…と思わせてくれる写真家だと思いました。
楽しくなってしまいこんな写真を撮ってみました!
みなさまも何かの思い出を撮る時は行ってみてください。
本日は眼瞼内反の中でも瘢痕性のものについてお話ししたいと思います。
瘢痕性眼瞼外反 cicatricial ectropionは熱傷、外傷、眼瞼や顔面の手術後、さまざまな光線性や浸潤性の状態により下眼瞼前葉の瘢痕化・垂直方向の短縮が原因と言われています。たまに重度のアレルギー性眼瞼炎による急性経過でも起きることがありその場合はステロイド軟膏で治療できます。
Ophthalmology fifth edition より引用
手術方針は「瘢痕の除去+足りない組織の補填」です。
lateral tarsal stripなどで逃げようと思っても必ず再発します。
前葉の垂直方向の短縮の場合は睫毛下切開アプローチです。
大事なことは組織が伸展できるようになるまで瘢痕を確実に排除することです。
瘢痕の解除が甘いと必ず再発します。
瘢痕の解除が終わっても、そのまま縫合すると前葉組織が足りないままですので前葉組織を他から移植してくる必要があります。
眼瞼皮膚は人体の皮膚の中でも最も薄い部位です。また、瞼板や結膜というのは眼球との相性が非常に良い組織です。
よって眼瞼再建で不足した組織は基本的に対側眼瞼から持ってきます。
なぜ対側なのか?同側からでもいいじゃないかと思いますよね?
ベクトルで考えればわかりやすいです。
瘢痕により下眼瞼が下方に牽引されている状態で、同側の上眼瞼から皮膚を持ってくると上眼瞼は上方に牽引されます。
より上下眼瞼が離れていく方向にベクトルが働き、対側との左右差が大きくなっていきます。
患側下眼瞼が下方に牽引されているのであれば、対側上眼瞼から持ってくることで相対的に上下ベクトルの総和の左右差が減ります。移植は対側眼瞼から採取しましょう!
皮膚移植のコツとしては「とにかく薄く」です。
血管や脂肪組織を残さないようにこそぎ落とさないと術後組織壊死を引き起こします。
ただし、皮膚に穴を開けないようにです。
写真のように赤や黄色の組織はスプリング剪刀でこそいで、真皮の真っ白な組織だけになるようにします。
そしてトリミングしながら移植切片を縫合します。
だんだんシンプルな症例だけではなく、困難な症例も経験する機会が増えてきました。
経験を広げて早く一人前を目指したいと思います!オベンキョもオシゴトも楽しんで頑張りましょう。
今日もありがとうございました!
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |