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眼形成手術における感染について
専門医試験まであと5ヶ月を切りました!
眼形成・眼窩・涙道を専門に選ぶとなかなか他の分野の勉強が手につかなくなります💦
とも言ってられませんので頑張ります。
専門医試験にも眼窩疾患の出題があります。
今まで眼窩骨をなかなか覚えられずにいました。
いい覚え方があったので共有したいと思います。
眼科医ぐちょぽいのオンライン勉強会 より引用
上記の並びで
「公害状況を前に涙する市長」
と覚えます。自信がなかった方はこれで覚えてみてください。
さて本日は眼形成手術における術後感染についてまとめたいと思います。
眼瞼は血流豊富な組織であるため術後感染をほとんど起こさないと言われています。
実際やってみて内眼手術時よりも清潔操作が多少緩いです。しかしほとんど感染が起きていません。
当院では消毒はベンザルコニウムで、基本的にはガウンは着ずに滅菌手袋のみで手術を行っております。
実際統計学的にどのくらいの感染率が報告されているのでしょうか?
4つの論文を参考にしたいと思います。
Doucet, V, et al. Infection rate following elective oculoplastic surgery in a minor procedure setting: a single-centre retrospective study. Can J Ophthalmol, 2021
眼瞼手術(一部眼窩も)において0.37%(2/539)の確率で感染が認められました。
2例とも人工物が挿入されていた症例であり、人工物の抜去が施行されました。
Olds C, et al. Postoperative Antibiotic Use Among Patients Undergoing Functional Facial Plastic and Reconstructive Surgery. JAMA Facial Plast Surg, 2019
主に鼻手術と眼形成手術における感染率、抗生剤の有効性について述べられた論文です。
表在性手術部位感染症は患者の1.6%で発生し、深部手術部位感染症は患者の0.3%で発生したとのことです。
術後抗生剤を投与された患者は術後感染リスクが有意に減少しました。
しかし、抗生剤投与期間の長期化は術後感染リスクの低下には関連していませんでした。
Lee EW, et al. Infection Rates in Outpatient Eyelid Surgery. Ophthalmic Plast Reconstr Surg, 2009
眼形成手術における術後感染率は0.04%(1/2,227)でした。
術後抗生剤投与は局所投与のみでよいのではないかという結論でした。
Carter SR, et al. Infection after Blepharoplasty with and without Carbon Dioxide Laser Resurfacing. Ophthalmology, 2003
眼形成手術における術後感染率はCarbon Dioxide Laser Resurfacingを行なっていない場合は0.2%で、併用した場合は0.4%でした。この論文でも術後抗生剤投与は局所投与のみで十分ではないか とまとめております。
以上のことをまとめると術後感染について
①人工物があれば除去
②術後抗生剤内服については意見が分かれるが必ずしも必要というわけではなさそう。
③軟膏塗布のみでも感染率はある程度抑えられる。
ということがわかります。
今後新たなデータが出たら面白いですね。今日もありがとうございました。
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |