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涙道閉塞症と眼窩腫瘍について
今日もよろしくお願いします。
今週は臨床眼科学会ですね。自分は今回は学術展示での発表です。
ほんの数分の発表ですので内容はpoorかもしれませんが、皆様みていただけたら幸いに存じます。
よろしくお願いします。
オキュロの同門医師の寒竹先生はウイスキーが大好きです。
自分はウイスキーに疎いですが、ウイスキーバーに連れて行ってもらい感動したウイスキーがあるので紹介します。
イギリスにアイラという島がありそこで作られているスモーキーで香り高いウイスキーです。
あまりにも香りが良すぎて飲むのを忘れてずーっと匂いを嗅ぎ続けていました。
口に含むと最初だけピリっとしますが、その後コーヒーのような燻製のような味わいが口いっぱいに広がります。
ストレートでもハイボールでも楽しめますので一度お試しください。
自身で購入してみたのですが、やはり家よりお店のグラスで飲むほうが美味しいですね。なぜでしょう。
さて本日は涙道閉塞症と眼窩腫瘍についてです。
最近眼瞼だけではなく、眼窩や涙道に触れさせていただく機会が少し増えて来ました。
そんな中でこれは怖いなーって思ったことについてお話します。
患者が流涙を主訴に来た場合、「なんだただの涙道閉塞かぁー。涙小管閉塞なら涙道内視鏡して、慢性涙嚢炎・鼻涙管閉塞ならDCRしよーっと」とだけ思っているといずれ痛い目を見ます。
涙囊炎というと典型的なのは下記のような写真です。
より出典
でも典型的ってなんなのでしょうか??
次に下の写真を見てください。
Stephen P. Verb, et al: Phakomatous choristoma: A rare orbital tumor presenting as an eyelid mass with obstruction of the nasolacrimal duct: J AAPOS. 2009 Feb;13(1):85-7.
場所をみると一見涙嚢が腫れているように見えなくもありません。
実際はPhakomatous choristomaという珍しい腫瘍による腫脹でした。
「これは珍しい小児の症例だし画像診断すればわかるじゃん!」
と思いますがこれが高齢で眼脂を伴った患者様だとどうでしょうか?
忙しい外来中にふっとそういう方が舞い込んでくると通水をして涙道opeにぱぱっと回してしまいたい気持ちもあります。
そんな気持ちをぐっとこらえて患者様の顔をよく見てみましょう。
例えば腫脹している部位は本当に涙囊か?、眼球位置の偏位はないか?、硬さはどうか?などです。
上記を加味しながら診察すると「なんか変だな」という思考が働きます。
この「なんか変だな」という思考ってものすごく大事で教科書には一切載っていないです。
いわゆる名医といわれる方々は圧倒的経験によって、「なんか変だな」というレパートリーを星の数ほど持っています。
自分も含めて経験の浅い医師はそのレパートリーが圧倒的に少ないので気付けずに診断・治療を行ってしまいます。
先ほどのPhakomatous choristomaの症例にDCRや涙道内視鏡を行うことはほぼ禁忌と言えます。
ちなみにこの辺にできる腫瘍としては、Hemangioma、Dermoid cyst、EncephalocereやRhabdomyosarcomaなどがあります。
眼窩腫瘍に限らずどんなに忙しくても「なんか変だな」思考を蔑ろにせず常に疑問を持ち続け、自分の予想に反していればそれを軌道修正しなければ間違った知識が蓄積されていきます。
師へ教えを乞い、さらに自学自習を重ねた者にのみ名医への道が開かれますので今後もチャレンジを続けていきたい思います!
今日は自己啓発本みたいな内容になってしまいました。今週も半ばが過ぎました!残りも攻めて頑張りましょう!
ありがとうございました。
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |