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涙腺について
皆様オイコスというヨーグルトをご存知でしょうか?
恥ずかしながら自分は下痢ピー人間ですのでヨーグルト、オリゴ糖、食物繊維は欠かせません。
このオイコスというヨーグルトは現代人に不足しているタンパク質を大量に含んでおります。
厚生労働省のホームページによるとタンパク質の摂取基準は下記の通りです。
タンパク質を摂取するとなると肉、魚介類をイメージすると思います。
しかし、いざそれらを摂取しようとすると大量の脂質・糖質が付随してきます。
オイコスはたった71 kcalで1日摂取量の1/5を摂取できます!
「タンパク質豊富なヨーグルトってどうせプロテインみたいなパサパサでモッタリした味がするんでしょ?」
って思いますがオイコスはまんまヨーグルトです!
ぜひお買い求めを!!
さて本日は涙腺についてです。
皆様涙道についてはいくらかは見聞きしたことはあると思いますが、涙腺については医学部でもあんまり教えてくれないので「なんとなくーーー♩」で済んでいる方も少なからずいるでしょう。かく言う私もそうであります。
そんな方々のために語ります。
涙腺は下記のような解剖です。
Techniques in Ophthalmic Plastic Surgery Second Editionより出典
眼瞼挙筋のlateral hornを境にして眼窩部と眼瞼部に分かれます。
眼窩部は眼瞼挙筋の上方、orbitの外上方に位置し実際は眼瞼より外側にあります。
眼瞼部は眼瞼挙筋の下方、結膜の外上方に位置し円蓋部に向かって小管を出します。
神経支配は下記の通りです。
Sobotta Clinical Atlas of Human Anatomyより出典
これだけ見ると涙腺って三叉神経支配なんだぁって思うでしょうが、実は交感神経線維と顔面神経からの副交感神経線維も合流します。ちなみに顔面神経麻痺になると涙液分泌が抑制されます。さらに兎眼になることで閉瞼不全となり角膜上皮にとってはダブルショック状態となります。
下記のサイトでも副交感神経線維の走行について記載がありましたのでご覧になってください。
上眼瞼を翻転すると涙腺眼瞼部が観察できます。
Techniques in Ophthalmic Plastic Surgery Second Editionより出典
右が正常です。
左はDacryopsという状態です。涙腺嚢胞もしくは涙管嚢胞と訳されます。トラコーマ、瘢痕性類天疱瘡、化学外傷、特発性などの原因があります。病態としては小管の閉塞が原因と言われています。また、嚢胞内腔へIgAが過剰分泌され、浸透圧により嚢胞が拡大するという説もあるようです。基本的には良性ですが、SCCに変化したという報告があります。基本的には経結膜切除ですが、類天疱瘡などにより結膜の損傷が激しい症例には皮膚切開からアプローチして切除することもあるようです。分泌能が強く穿刺だけでは再発することが多いです。
眼窩部の小管は眼瞼部を貫いて結膜に開口し涙液を排出します。眼瞼部を切除してしまうと小管と結膜の連続性が切断されてしまうためドライアイになります。眼窩部はある程度切除してもそこまでドライアイにはならないようです。
涙腺腫大といったら色々な病気を疑わないといけません。まだまだ不勉強ですが…。
下記にAdenoid cystic carcinoma、Benign mixed tumor、リンパ性疾患の鑑別方法について貼っておきます。
一緒に覚えましょう!
Techniques in Ophthalmic Plastic Surgery Second Editionより出典
他に眼窩の外上方の腫瘤として忘れてはいけないのは涙腺脱臼です。
今回眼瞼下垂の術前の患者様の瞼を触診したところたまたま涙腺部の腫瘤を見つけました。圧痛のない硬結で画像診断の結果上記診断となり、挙筋前転+涙腺亜全摘を経験させていただきました。
涙腺なんて全く馴染みのない臓器だったため、指導を受けながら手探りでなんとか完刀しました。
涙腺は血液から液体成分を濾して涙液を分泌する臓器のため出血が出ます。涙腺動脈は眼窩の中でかなりの血流量を有する血管です。眼科医からすると術中出血はゾッとしますが、逆に出血があると「あぁこれは涙腺なんだな」と思えます。どうしても涙腺がわからなかったら、外上方のrimを見つけてそこから眼窩内に沿って入っていくとそこに必ず涙腺があります。
先述の通りですが、涙腺の眼窩部は切除してもそこまでドライアイにはならないので眼窩部をメインで亜全摘します。
脱臼している部分を切除したらあとは周囲組織とrimの奥側の骨膜を縫合します。ヘルニア門を閉じるようなイメージですね。
「もう脱臼してくるなよ!」と思いながら気合いを入れて縫います。
神経走行をみてわかる通りですが麻酔時は涙腺の奥に効かせるイメージでやらないと結構痛いですのでご注意を!
(以前のブログにも書きましたが、挙筋短縮併用の場合は必ず定量後に麻酔追加です!)
今回はボリューム多めでした。最後までありがとうございました。眼窩、涙道って本当に奥が深いです。ここまで多岐にわたるとは思ってませんでした。間違っているところもあるかもしれませんが、一緒に学んでいきましょう!今日もありがとうございました!!
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |