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挙筋短縮の適応・注意について
今日もよろしくお願いします!
最近は夏野菜が安くていいですね。
千葉県は新鮮で美味しい野菜が安く手に入るので料理が捗ります。
最近なかなか外食・旅行ができないので家で自炊と晩酌をしながらYoutubeとにらめっこしております。
みなさまは岡田斗司夫さんという方をご存知でしょうか?
かの「エヴァンゲリオン」を作ったアニメ制作会社「ガイナックス」の初代代表取締役です。
有名な書籍には「いつまでもデブと思うなよ」があります。
その岡田斗司夫さんがYoutubeにて色々なアニメの考察を行っているのですが、これがまた面白いです。
個人的にジブリの考察がかなり興味深いです。
「もののけ姫のタタラ場には何故子供がいないのか?」
「千と千尋の神隠しの世界はどういう世界なのか?」
などオタクを極めるとここまでくるのか……
とため息が溢れるような動画です。一度ご覧になって見てください。
さて本日は挙筋短縮の適応について述べたいと思います。
僕が眼科医になりたての時は
「眼瞼下垂手術って瞳孔領を覆うようになったらオペ適応でしょ?」
「視機能を維持できているのでオペ適応ないでしょ?」
と思っておりました。お恥ずかしい限りです。
実際思っているより多くの患者様がまぶたの重み、前額部のコリ、頭痛を感じています。
加齢性の変化により皮膚が弛緩し、挙筋腱膜もしくはMuller筋が弛み上眼瞼が垂れ下がってくると対抗しようとして眉毛が挙上し、おでこにシワが寄るようになります。HCLを使用している方にとても多いです。
目の開き具合を評価する方法として挙筋機能検査やMRDがよく知られています。
大体挙筋機能が10mm以上あれば挙筋短縮をしてみてもいいと思いますが、挙筋機能が10未満であった場合は先天下垂を合併している可能性が高いため吊り上げ術を検討してみてもいいかもしれません。
しかし、挙筋機能が10以下でも挙筋短縮で上がる症例が少なからずありますので、迷ったら挙筋短縮を選択しましょう。
MRDに関してははあまり知られておりませんが、MRD-1〜3まであります。
当院では挙筋短縮の適応を判断する時にMRD-3を主に採用しております。
MRD-3の低下があり、かつ挙筋機能が保たれていれば挙筋短縮を選択してみていいのではないかと思います。
ただ一部注意が必要な症例があります。
若年のMRD-3の左右差がある場合、先天下垂の要素が絡んでいる可能性があるためaponeurosisの前転のみでは十分な開瞼が得られないことがあります。その場合、Muller tuckingの併用やlevator resectionが必要になります(若年者のlevator resectionはあまりやりたくないですが…)。先天下垂の場合前転しすぎると兎眼になることもありこの兼ね合いが極めて難しいです。
20代の先天下垂のある症例を先日執刀させていただいたのですが、先天下垂の目はなかなか上がらず、頑張って左右差をなくそうとすればするほど兎眼が出てくるため涙が出てきました…。
また比較的若年の症例で「片眼の下垂が出てきた。」も要注意です。慣れてくればピーンとこなくてはいけません。
甲状腺眼症を疑う所見です。眼症の症状の一つに眼瞼後退があります。片側に起きると健側が一見下垂しているように見えます。
その場合むやみに挙筋短縮を選択すると泥沼にハマるため、MRI、トリアムシノロン注射を検討してみてください。
(ちなみに甲状腺眼症では7人に1人程度の割合で眼球突出に左右差が出ると言われております。)
今日は以上にさせていただきます。亀田総合病院で眼瞼手術を開始し、一人でぶち当たる問題も多いですがスタッフの方々と患者様には本当に恵まれております。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |