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眼窩下壁骨折について part.2
今日もお願いします。
今日はご飯の話はなしです。楽しみにしていた方はすいません。
このブログに引き続いて、youtubeでの動画をアップさせていただきました。
自分で撮った訳ではなく、鹿嶋先生に全て段取りをつけていただいて撮影いたしました。
私自身の力ではありませんので悪しからず。
知り合いや家族からは「うさんくさい」「詐欺師みたい」「猫背直せ」「噛みすぎ」「ヒゲ脱毛しろ」などたくさんの好意的な応援メッセージをいただいております。ありがとうございます!まだご覧になっていない方は是非ご覧になってください。
まだ専門を決めていない先生方にとっては、「専門・進路を決めた医者の思考回路」という1例報告みたいな感じで聞いていただけたら幸いです!貼っておきます。
眼窩下壁骨折について
さて今日も骨折についてです。2例目です。今回は下壁とstrutの再建を要する症例についてです。
ぬぅー難しいです。
基礎中の基礎ですが、まずは下方rimへの到達です。
下記に2つの文献の解剖図について記します。
Plastic Surgery: Volume 2: Aesthetic Surgery.
Few, Julius; Ellis, Marco. Published January 1, 2018. Pages 296-325.e2. © 2018.
柿崎 裕彦:手術治療からみた眼瞼解剖. 臨眼 62(13):1939-1944,2008
まずは下眼瞼結膜からLERを切離して下方rimへアプローチしますが、結膜をなるべく結膜をキズづけないように注意します。
レクトミーでは「結膜は宝物」とよく言われます。このアプローチ後に癒着を起こし円蓋部の垂直方向の短縮を引き起こすことがあるので結膜をむやみに有鉤鑷子で把持したり、牽引糸で傷つけないように注意しましょう。
LERに牽引糸をかけたところでしっかり展開を行います。前回のブログで話した通り、orbitaにも入らないようにかつ眼輪筋も傷つけないように進まないと行けません。
上図でも分かる通り、その道のりは極めて難しいです。
眼窩脂肪がうっすら見えてきたり、逆に茶色っぽい眼輪筋が見えたりするとその度に軌道修正しながら下方rimに到達するという流れになります。脳ベラなどで常に下方rimに触れながらアプローチするとやりやすいかと思います。
下方rimに到達したら余分な組織を除去し骨膜切開を行いますが、左右にしっかり展開を行いましょう。経結膜アプローチには「術野が狭い」という最大のデメリットがあるので結膜と組織をしっかり左右に広く展開することが大事になります。内壁へのアプローチ時は涙丘部結膜切開も加えなければならないです。結膜切開を内側に展開する場合はそこを考慮して進めましょう。
reope時に骨膜下を進んでいくとき、前回のアプローチが不適切であることがあります。改めて骨膜に切開を入れてしっかりと骨膜下に入りましょう。当然左右に広く展開しましょう。
骨膜下を進み、骨折の後端が見えて初めて完全な整復ができます。骨折の全容が見えていないときはそれは嵌頓した眼窩組織がまだあるということに他ならないので骨折の後端をしっかり剖出します。
若年の眼窩底骨折は若木骨折のように「しなる」骨折のため、骨の位置の矯正し嵌頓を除去すれば治ります。
しかし、成人以降、特に高齢者では骨がバラバラに砕けるため再建材料が必要になります。
今回はスーパーフィクソーブにて再建を行いました。鹿嶋先生に「眼窩底の形に整形してみなさい」と言われ、背筋がナイアガラの滝になりました。なんとなくCTでみた眼窩底の形はあったのですが、頭の中の3Dが出来上がっておらずヘンテコリンな形になってしまいました。こればっかりは何回も切って覚えるしかないのですが、鹿嶋先生曰く「アフリカ大陸の形のように切りなさい」とのことでした。CT画像を土井先生にご指導頂きましたが、眼窩底の形って確かにアフリカ大陸に似ているなと思いました。
もしスーパーフィクソーブを整形する方がいらしたら参考にしてみてください。
骨折については以上です。
話はかわりますが、別にご指導いただいたことを紹介します。
当然っちゃ当然なんですが、いまだにできていなかったことが「皮膚を垂直に切ること」です。メスを皮膚に対して垂直に切らないと創傷治癒に悪影響です。そぎ切りはいけません。刺身包丁で刺身を切るように皮膚は切ってはいけません。
眼瞼は平らなところがないため、凹凸を意識しかつもう片手でしっかり皮膚にtensionをかけて切開を行いましょう。
今更ですが、本当に大事です。ご留意を。
またひとつ成長できました。周りの先生方、スタッフに感謝陳謝です。
今日もありがとうございました!
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |