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再手術について
さて今日は再手術についてです。
白内障手術と違い、眼形成手術には少なからず再手術が必要です。悲しいですが…。CCCの大きさや強角膜創の長さは術直後と術後1週間でほぼ変化することはないですが、眼瞼は術直後に「ビシッと決まったなこれは」と思っても手術2週間後に見てみると様相が変わっていることがあります。思ったより左右差が出ていたり、低矯正・過矯正があります。悲しいですが…。
先日再手術を執刀させて頂いたのでご報告致します。
術後修正はいつまでに行えばいいのでしょうか??
たまに「半年様子を見てみましょう。」という意見を聞きますが、半年待って何か改善するならそれでもいいんですけど術後早期の時点で微妙な仕上がりだと経過見ても大体微妙な仕上がりです。しかも微妙な仕上がりを患者様に半年待っていただくのも気持ち悪くて嫌です。
創傷治癒的に術後6時間〜7日目が炎症期、7日目〜3週間までが増殖期、3週間以降が成熟期と言われます。
炎症期はいわゆるめっちゃ赤くなって腫れる時期です。この時期はクーリング、圧迫が大事です。
増殖期は肉芽組織が形成され、創が収縮し始めます。線維芽細胞、血管内皮細胞の遊走、増殖が促進されます。
成熟期は瘢痕化が進み、創強度が増します。
創部が成熟期に入ると、完全に瘢痕化が始まってしまうため再手術は術後2, 3週以内が望ましいと思われます。その時点で再手術すると切開を加えずとも把持+牽引だけで前回のlayerで創を離開できます。変な力を加えず必ず前回のlayerで創を展開します。そうすれば自ずと前回の固定糸が出てきます。
前回手術時の固定糸の位置を目で覚えて過矯正であれば前転量を少なく、低矯正であれば前転量を増やして固定し直します。過矯正時に前転量を少なくするのは簡単ですが、低矯正時に前転量を増やしても低矯正が残存する場合が大変です。
apoの近位部に固定し直しても低矯正が残存する場合、2つ対策があります。
1つ目はMuller tuckingの併用です。aponeurosisをどれだけ短縮しても良好な開瞼を得られない場合、下垂の主因がaponeurosisではなくMullerにあると考えます。実際今回の症例はtuckingの併用で良好な開瞼が得られました。下垂の主因がaponeurosisかMullerにあるかを術前に判断するのは非常に困難です。術中の定量、術後経過観察にて判断しましょう。
2つ目は瞼板の固定位置を変えることです。やや愚策ですが…。普通であれば瞼板の上縁付近に固定しますが、どうしても開瞼が得られない場合の救済策として瞼板の上縁より下方に固定します。あまりにも下縁付近だと歪になるので注意です!
当院だと再手術を外来の合間にぱぱっと行わなければならないのでスピードを更に上げないとついていけないです!!
まだまだ頑張ります!今日が人生で一番若い日です!今日もありがとうございました!
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |