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手強い下眼瞼内反
今日もよろしくお願いします。
自分は東村アキコという漫画家が大好きです。ギャグ表現が多いのですが端々に散りばめられた表現や描写がストレスの多い現代人の心の琴線に直に触れてくるような作品ばかりです。一番有名なのは「東京タラレバ娘」でしょうか?他に「かくかくしかじか」「主に泣いています」「美食探偵 明智五郎」「ママはテンパリスト」などがあり、ほぼ全て非常によくできてます。
今は「雪花の虎」という漫画を読んでおります。上杉謙信が女性だったのではないか?という俗説があり、それを題材にした作品が過去に多く出版・放送されています。その中に「六韜三略」という兵法書が出てくるシーンがあります。そこに記されている「十過」は、将たる者にふさわしくない十の「過ち」を挙げたもののようです。現代のリーダーにも通ずるものがあると思ったので供覧します。何かの糧にしていただければ幸いです。
- 勇にはやって死を軽んずるもの
- 短気でせっかちなもの
- 欲が深くて利益を好むもの
- 仁がありすぎて厳しさに欠けるもの
- 智はあるけれど臆病なもの
- どんな相手も軽々しく信用するもの
- 清廉であって人にもそれを要求するもの
- 智がありすぎて決断できないもの
- 意思が強くなんでも自分で処理するもの
- 意思が弱くなんでも人任せにするもの
さて本日は下眼瞼内反についてです。まず下眼瞼内反と外反正直難しいです。上眼瞼の疾患よりも病態、治療法がやや理解しづらい部分が多いです。下眼瞼内反について今現時点で教わった点・考えた点についてまとめます。
まず眼瞼内反の病態ですが、なんらかの理由によって前葉と後葉のバランスが崩れることが原因です。前葉の水平方向の弛緩と後葉の垂直方向の弛緩が起こることにより眼輪筋隔膜前部の瞼板の上に乗り上げる「overriding現象」を生じ眼瞼が眼球側に内回転することにより発症します。大半は退行性が原因ですが、一部にある瘢痕性を見逃さず手術方法を選択する必要があります。
退行性・瘢痕性の場合見分ける方法としては触診が一番いいと思います。前葉に水平方向の弛緩であればSnap back test, Pinch test, Lateral distraction test, Medical distraction testなど色々なテストがあります。後葉の垂直方向の弛緩については瞬目テストが有効と言われています。
他に教科書には書いてないですが、下眼瞼をpush upするときに容易に内回転で起こればが後葉の拘縮があるということを示しています。
これらの見分け方は外反の病態判断にも使用でき、術式選択に非常に有効です。
次に術式選択ですが、これまた難しい。Jones原法、Jones変法、Wheeler-Hisatomi法、Lateral tarsal strip法、埋没法があります。
当院では主に前葉後葉ともに拘縮のない眼瞼内反にはLER plicationを施行しております。
何それ??って思った方(僕もでした…)は鹿嶋先生がyoutubeに動画をアップしていただいているので見てみてください。
おそらくまだ再発率について論文化しておりません(申し訳ありません…。近い未来論文化します。)が、簡単な手技の割にかなり再発率が低いです。お試しいただけたら幸いです。
水平方向の弛緩が強い場合にはLateral tarsal strip法を行っております。
後葉の拘縮がある場合にはLER切離+Hotzを行なっています。
いずれもまだ執刀経験がありません…まだまだハードル高いっす…
他にも色々な術式の使い分けがあるのでしょうが、まだわかっていない部分が多いので今後答えに近づけるように頑張ります。
また執刀機会がありましたら、ポイントについてまとめてご報告したいと思います。
今日もありがとうございました!
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |