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睫毛内反と乱生の合併について
内反と乱生について
さて同じ逆さまつげでも睫毛内反、乱生、重生、眼瞼内反など色々ありますが、今回は内反と乱生についてお話したいと思います。
内反の病態は腱膜の皮膚穿通枝の脆弱・欠損が原因と言われています。
乱生の病態は眼瞼炎などが原因となり、瞼縁に微小な瘢痕生収縮が起こり同部が眼球側に引っ張り込まれ(marginal entropion)、慢性炎症を惹起することが原因と言われています。
オキュロフェイシャルクリニック東京では、上眼瞼睫毛内反については、眼輪筋とaponeurosisを固定するHotz法を行っております。
下眼瞼睫毛内反については、Lid margin splittingとHotz法を併用しております。
まだまだ手技としては未熟でスピードも遅いですが、だんだん術後の睫毛位置や重瞼が安定してきたように思います。
しかし、内反に加えて乱生・重生まで加わると手術の難易度が一気に上がります。
今回は上眼瞼内反に加え、乱生のある症例について執刀させていただきましたので紹介します。
鹿嶋先生の手をかりなんとか執刀できました。
概ねやることは上眼瞼のHotzなのですが、乱生睫毛が嫌がらせのように眼球側を向いているため改善が乏しければもう一手間加える必要があります。教科書的には毛根除去術やlid splitting without lash resection(前葉移動術)、lid splitting with lash resection(Wojno法)があるようです。
今回の症例はgray lineを超えて結膜側にまで侵入した乱生を認め、Hotz+Lid margin splittingを施行しました。
教えていただいたポイント
教えていただいたポイントが3個あります。
- Hotz時に普段より強く睫毛をたたせなければならない。
より高位のaponeurosisに固定し、確実に重瞼を作る。 - 内側が再発好発部位のため、睫毛上5mmラインを内側までしっかり切開する。
(※内側は切開線が睫毛側より5mmを超えがち!) - splittingにより睫毛根を必ず前葉側に残し、
前葉と後葉の連続を解除し、より強く睫毛を外反させる。
今回は上記を気にして執刀させていただきました。
経過は今後のお楽しみですが、経過が悪いようであれば睫毛を前葉ごと切除してしまうWojno法が選択されるのかと思います。
睫毛ハゲになってしまい、整容的には不利になりますが最も根治生が高いと言われております。
今後も睫毛と戦い続けます!今日もありがとうございました。
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |