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眉毛挙上術(Eyebrow Lifting)について
眉毛下垂に対する眉毛挙上術について
さて本日は「眉毛下垂に対する眉毛挙上術について」です。
鹿嶋先生は本当にたくさんの手術を執刀させてくれます。一度もやったことがない手術でも当日の采配で執刀することになります。絶対に予習復習が欠かせないです。しかし自分は優秀な方ではないので予習はだいたいの場合不十分です。
実際に執刀して覚えることの方が9割以上を占めます。
少ない予習の知識で頑張って手術します。オペ時間が押して背筋のひりつく中でなんとか手術を終えられた時の爽快感といったら、ビールなんて相手にもならないです。
昨日眉毛挙上術を執刀させていただきました。眉毛挙上術といえば一番に思い浮かべるのは顔面神経麻痺による眉毛下垂かと思います。他には額の広い高齢男性にも適応があるようです。
実際に執刀して直面した課題について
正直眉毛下皮膚切除より難しかったです。実際に執刀して直面した課題について2つ挙げたいと思います。
創部にかかるtensionが強いこと
1つ目は創部にかかるtensionが強いことです。
眼輪筋は横方向に筋繊維が走っているため、眉毛下皮膚切除では創にあまりtensionがかからないです。前頭筋は縦方向に筋繊維が走っているため創部へのtensionがより強くかかります。しっかり創をevertして寄せないと創離開、瘢痕形成や創の陥没の原因になります。術中に何度も鹿嶋先生、土井先生に御指導を受けました…。
より綺麗な創を作るために、下記のように皮膚切開の角度を工夫したり、真皮縫合時にハート形に運針したり、連続縫合時に皮膚に対して直角に通糸するなどを気をつけなければなりません。皮膚を切って縫うだけと言えばシンプルな術式かもしれないですが、形成外科的な技術が凝縮された腕が出る術式と言えると思います。
シンプルを極めればピュアになる。
すいません。言ってみたかっただけです。
デザインについて
2つ目はデザインについてです。
下記のデザインが最も一般的かと思います。
村上 信五, 横田 誠:顔面神経麻痺に対する整容術.耳鼻咽喉科・頭頸部外科 81巻 5号 pp. 146(2009年04月)
ただ上記のデザインだと上辺と下辺の長さが違うため、縫合時に上辺の皮膚が余りがちです。鹿嶋先生からは平行四辺形になるようなデザインでやるといいと教わりました。三日月型ではなく平行四辺形だと上辺と下辺の皮膚の長さが同じになるため縫合時にはdog earにならずぴったり皮膚が合いました。一度お試しください。
眉毛挙上の方法について、pubmedでnarrative reviewを見つけました。全然知らなかったですが、眉毛下垂への治療法はボトックスやフィラー注入などの侵襲の少ない方法から、頭皮をずばぁーーーーーーっと切って額の皮膚を持ち上げる恐ろしい術式まで色々な方法があるようです。興味があれば下記のリンクから見てみてください。
白内障手術のCCCと違って眼形成手術の切開創は患者からモロに見えます。そこが楽しいところでもあり辛いところでもあります。昨日のオキュロフェイシャルクリニックの勤務は非常にエキサイティングでしたが、その分疲労がどっと込み上げてきました。そっとラーメンの注文ボタンをクリックしたいと思います。すいません鹿嶋先生。
今日もありがとうございました!
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著者情報
菊地 良
Ryo Kikuchi経 歴
2016年 | 弘前大学医学部 卒業 |
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2016年 | 青森県むつ総合病院初期研修医 |
2018年 | 亀田総合病院 眼科 常勤 |
2020年 | オキュロフェイシャルクリニック東京 |
2020年 | 新前橋かしま眼科形成外科クリニック |
2024年 | まぶたとなみだのクリニック 院長 |