2021.02.07
美しい睫毛内反手術のために
今日もよろしくお願いします。
だいたい週1回で書くのが今のライフスタイルには合っているようですので当面はそのくらいの頻度で書きます。
よければお付き合いください。
上眼瞼睫毛内反+重瞼形成について
今日は上眼瞼睫毛内反+重瞼形成について書きます。
眼形成外科医としておそらくかなり序盤に経験する手術かと思います。
とは言うものの確実にできているかと言われたら…甚だ疑問です。
睫毛がたつのは最低条件として綺麗な重瞼を作ってあげたいです。
綺麗な重瞼を作る上で、最近学んだこと
そうなるために最近学んだことを2つ書きます。
教科書にはこういうことなかなか書いてなくて答えを探し奮闘する日々です。涙
1.眼輪筋切除について
1つ目は眼輪筋切除についてです。
過去の報告によると皮膚切除+眼輪筋切除は睫毛内反の再発率を下げると言われております。
(Choo, C.T., et al. : Surgical management of upper eyelid epiblepharon. Eye. 12 : 623-626. 1998.)
眼輪筋は確かに切除した方がよいと思うのですが切りすぎも良くないんです。
これはやってみないと全然わからないことでした。(とほほ…)
睫毛上で皮膚切除を行いますが、切開線直下の眼輪筋を切り込みすぎると切開線直下に重瞼ができません。
また真皮を広くすくいすぎるのも切開線直下で重瞼ができません。
眼輪筋の切りすぎは注意です!
2.眼輪筋と挙筋腱膜との固定について
2つ目は眼輪筋と挙筋腱膜との固定についてです。
Hotzを行うときに僕は挙筋腱膜と眼輪筋を縫合し、穿通枝を再建します。
挙筋腱膜に糸をかけるときに本当にそれが挙筋腱膜なのか、良くわからない時が多々あります。
挙筋腱膜上にある薄い皮膜、はたまた眼窩隔膜に糸をかけているのか…
しっかり腱膜に糸をかけないと術後内反が再発します。
そうならないために
眼窩隔膜をあけてwhite lineをしっかり確認して腱膜に糸をかける
上記をしっかり行うのが確実なのだと思います。
しっかり睫毛をたたせて綺麗な重瞼を作る。まずはここから確実にできるように頑張ります!
今日もありがとうございました。
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2021.01.30
術後の受診間隔について
眼形成手術後の受診間隔について
さて今回も初歩的な話ですが、眼形成手術後の受診間隔についてです。普段は亀田総合病院の眼科で働いておりますので白内障手術も人並みにはしているつもりです。白内障手術では必ず次の日に外来で診察をします。感染がないか、前房が保たれているか、眼内レンズの位置に異常がないか、炎症が許容範囲内か、眼圧があがっていないか、などを見ています。内眼手術だと術後の合併症によっては見逃すと重篤な後遺症を残し得るため、手術の次の日に必ず診察をします。
眼形成手術の場合、術後感染が起こることはかなり稀です
眼形成手術ではどうなのでしょうか?眼瞼は眼球と違って血流が豊富なため術後感染が起こることはかなーり稀です。血流が豊富ってことは血腫が起こりやすいのではないか?とも思いますが、眼瞼血管はそれほどの大血管がないので閉創前にしっかり止血しておいてガーゼで圧迫すればほとんど起きません。
仮に感染や血腫が少しあったとしても、翌日は創がパンパンに腫れているので見てもよくわからないです。そこをもう1回創を開いて洗うのかというと「経過を見ましょうか。(ニコリ)」とお茶を濁すのが関の山です。
じゃ縫合糸が緩んで創が開いていたらどうするんだ!バカモン!
と言われかねないですが、創の上皮化は48時間で起こるためその間に外れるような縫合をしなければいいと思っています。
(すいません。偉そうなことを言っておりますが、始めたての頃に1度術後縫合糸が外れたことがありました…。すいません…。)
いつも手術をしていて思うのですが、「翌日来てください」は言うのは簡単ですが、言われる側はたまらんです。自分が患者ならなるべく通院回数が少ない方がお金も時間もかからずハッピーだと思います。実際術後の患者さんを全員翌日に見るのは医療サイドとしてもかなり重労働です。合併症が起きたのであればその時に対応すれば良いのであって、全ての患者さんに翌日受診を強いるのはやりすぎかなぁーーーと思ってます。
なるべく無駄を削いでお医者さんも患者さんもハッピーライフを送って欲しいと思います。今日もありがとうございました。
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2021.01.24
ブログ始めてみます。
ブログ始めました!
はじめまして。オキュロフェイシャルクリニック東京、新前橋かしま眼科形成外科クリニック、亀田総合病院で眼形成を専門に眼科医をしている菊地 良といいます。
本日AM8:42に上司からLINEで「ブログやらん?」と言われました。最初は???でしたが、PMになる頃には「人生何事も経験だしとりあえずやってみよう」と奮い立ちました。
眼形成外科医としてはまだまだかけ出しの状態です。内容に関して眼形成の先生方からするとハンッそんなことも知らないのかよ、と怒られてしまうかもしれませんがお許しください。日々の診療で学んだことや経験したことをゆるりと書き連ねていこうと思っております。読んでふーーーん程度に思っていただければ幸いです。
早速最近学んだこと
自分は現在眼科専門医の後期研修医のため結膜と角膜はほどほどに沢山縫ってきましたが、皮膚を縫うのは初期研修医以来でした。やっぱり綺麗な傷って大事ですよね。皮膚を縫っているとどうしても合わない時があります。最後の最後にたるみができてしまうとdog earっていう嫌なたるみができます。正に犬の耳みたいな皮膚にできるシワです。
犬の耳はピヨピヨしててほっこりしますが、傷がdog earになってピヨピヨしてるとがっかりです。非常に悲しいです。その修正法について古い論文でいい画像があったので供覧します。
市田 正成, 塩谷 信幸:皮膚 特集 私の縫合材料と縫合法私の縫合材料と縫合法—私はこうしている.臨床外科 35巻 11号 pp. 1572
眼形成わからないことだらけですが楽しいです。日々成長します。
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0202.11.09
solitary fibrous tumorの予後
今日もよろしくお願いします。
臨床眼科学会も無事終わりましたね。
なんで福岡のご飯ってあんなに美味しいのでしょうか?
学会中は1 kg/dayで増量してしまいまだ戻りきっていない状態です。
とんこつラーメンやゴマサバ、明太子は食べたことがあるのですが、水炊きは食べたことがありませんでした。
初めて水炊きというものを食べましたので報告いたします。
食べた場所はここです。
一木庵 · 〒810-0012 福岡県福岡市中央区白金1丁目6−24★★★★☆ · レストランgoo.gl
中心街からはすこし外れた場所にあるのですが、非常に美味いです。
ひたすら鶏をコースでいただくのですが、最後まで全く飽きないです。
鶏をよくもまあここまで美味しくできるもんだなと感服します。
お野菜もシャキシャキとクタクタのちょうど間くらいの絶妙な火加減で出してきます。
隣に非常にオシャレなバーも併設されており、二次会までセットで楽しめるまさに大人の隠れ家です。
一度御来訪を。
さてそろそろ眼科疾患シンポジウムですね。慣れないスライド作りに追われております。
以前にも紹介したsolitary fibrous tumor(以下SFT)の予後について本日は述べます。
SFTの治療方針のgold standardはとにかく外科的完全切除です。
SFTは周囲との境界が明瞭であることが多いようなのでアプローチさえできれば切除しやすいかと思われます。
取り残すととにかく再発します。術後放射線療法(+化学療法)も選択肢としてありますが、抵抗性があります。
では切除できた場合どのように予後を想定すればよいのでしょうか?
2016年のWHO分類では下記のようにGradingされています。
Grade I
corresponds most often to the highly collagenous, relatively low cellularity, spindle cell lesion previously diagnosed as solitary fibrous tumor;
Grade Ⅱ
corresponds typically to the more cellular, less collagenous tumor with plump cells and “staghorn” vasculature that was previously diagnosed in the CNS as hemangiopericytoma:
Grade Ⅲ
most often corresponds to what was termed anaplastic hemangiopericytoma in the past, diagnosed on the basis of 5 or more mitoses per 10 high-power fields.
これは明確な線引きはなく、目安になります。
現在現在多数のリスク層別化モデルが存在していますが、最も広く使用されているのは下記のようです。
Table 3 Modified four-variable risk stratification model for development of metastasis in solitary fibrous tumorswww.nature.com
年齢、腫瘍サイズ、有糸分裂数、腫瘍壊死の4つの項目についてscoringし、low, intermediate, highの3つに分類するものです。
特にlowに分類されると転移リスクはほぼないとのことでした。
しかし、いずれにせよかなり長期での再発・転移報告が多数出ておりますので長期followは必須と考えます。
今日は学会前ですので少しニッチな内容でした。
アカデミックな内容も楽しいですが、まだまだできないオペがたくさんあって歯がゆい日々です。
スーパードクターはまだまだ遠いです。明日も頑張りましょう。今日もありがとうございました。
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