BLOG医院ブログ

2021.04.20

切開デザインについて

今日もよろしくお願いします。   日曜日は久しぶりの休みでしたので千葉県を代表する有名店「松戸富田製麺」に行ってまいりました。自分は海外旅行の際に羽田空港出発の場合は「六厘舎」、成田空港出発の場合は「中華そばとみ田」を食べてから日本を発つと決めております。久しく食してませんでしたが、全く異常なしでした。完成度が極めて高いです。ラーメンっていうとどうしてもジャンクフードのイメージがいまだに強いと思いますが、あのスープは芸術です。魚粉の香りが特徴的な濃厚豚骨魚介スープです。ペットボトルに入れて持ち歩きたいくらいです。しかし、濃厚スープだけだと舌に残る感じがあります。そこでほんの少しゆずが入っているんです!!ゆずによって清涼感が加わり全体の完成度が飛躍的に上がります。よくゆずを入れてくださったなぁ……!と感謝さえ覚えます。麺には他では食べられない深い小麦粉の味わいがあります。まずは数本スープにつけずに召し上がるのが通の食べ方のようです。   ぜひ一度来訪をお願いします。   今回は皮膚デザインについてです。   挙筋短縮、Blepharoplasty、眉毛下皮膚切除などはデザインが命です。 大きく外さなくはなってきましたが、いまだに皮膚デザインは難しいです。瞼の形は人によって千差万別ですので白内障のCCCと違い、執刀するたびに考えさせられます。   挙筋短縮、Blepharoplastyにおいてデザインの下縁において必ず「睫毛上5mm」は外してはいけないと教わっております。短すぎるとpretarsal showがほぼなくなり余剰皮膚が弛緩として瞼縁を乗り越え重みの原因となります。長すぎると瞼縁から重瞼線までの皮膚がたるみ、不自然な重瞼となります。   上縁については皮膚を押し下げてできた複数のシワの一番上のシワに剃ってデザインすれば術後の皮膚弛緩の残存を予防できます。   内側については内眼角の直上までつなげますが、しっかり内側まで重瞼を作ってあげないと中途半端な重瞼になるなぁと経験的に思いました。   外側については余剰皮膚があるところまで切除します。鹿嶋先生は一つの目安として外眼角から外側に15-20mm程度まで切除すると良いと仰ってました。       眉毛下皮膚切除においてのデザインの上縁は「眉毛の一番下の生え際のライン」ではなく!!、「メイクラインの下縁」です。生え際のラインで切開すると瘢痕がとても目立つようになります。女性だとメイクラインがわかりやすいですが、眉毛の濃い男性だとメイクラインがわかりづらいので注意が必要です。   下縁は皮膚弛緩がなくなるところです。最低でも縦径が10mm以上切らないと皮膚弛緩が残存するようです。皮膚の切りすぎもよくないですが、10mm以上切ると本当に術後スッキリした瞼になると思います。   内側は眉頭を超えると瘢痕が目立ちます。眉頭より外側にデザインの内側端を作ります。   外側は目尻の皮膚のたるみがあるところまでです。   眉毛下デザインでは一番縦径が幅広になるところが外眥の直上になります。   以上を守ればクミンシード型?(他にいい例えが思いつきませんでした。)の良いデザインができます。       デザイン時の注意ですが、ふっとい線で書くといざ切開する時に線の上縁、真ん中らへん、下縁のどこで切開するのかわからなくなってしまうので細い線で書くことをお勧めします。細かいことですが、実際結構切開線を見失います。   また左右差が大きくならないように色々な角度から自分の書いたデザインを見て面積や形に左右差がないか確認するとよいです。       今日は以上です!ありがとうございました。 関連記事

2021.04.11

はじめてのつりあげ

今日もよろしくお願いいたします。 昨日はライブサージャリーがありました。お忙しい中御視聴いただいた先生方ありがとうございました。 先生方の肥やしに少しでもなれば鹿嶋先生もあくせく準備した職員もみんなハッピーです。 気づいた方もいらっしゃったかもしれませんが、完全油断していた僕と鹿嶋先生の目が合い、「縫合やってもらおうかな❤️」とお言葉を頂戴致しました。自分の所属する亀田総合病院の社訓が「always say yes」であり、当然「やります」と目で返答しましたが、心拍数はおそらく130程度だったかと思います。震える手で無事縫合を終えました。ライブサージャリーで震えずにオペできるってすごいことですね。皮膚縫合しかしてないのにラグビーW杯並みの緊張感でした。応援?ありがとうございました。 最近あんまり会っていない姉が偶然にも配信を見てくれて「映ってたね。痩せたね。」と言われ、「自分は痩せたのか…」ととてもホクホクとした気分になり、鹿嶋先生とのお寿司をペロリと平らげてしまいました。ご馳走様でした!良い気分で食べればゼロカロリー!!なんてことはなく今日は晩御飯抜きです。 小児のゴアテックス吊り上げを執刀 今日はお題の通りです。小児のゴアテックス吊り上げを執刀させていただきました。 眼形成手術あるあるですが、施設によってまったく指導内容が違います。水晶体再建術なら「しっかり手術の教科書読んでこい!」「はーーーい!!」で済む話ですが、特に吊り上げとなると資料が少ないです。教科書なんて本当に少ししかないです。 「吊り上げ」について教えていただいたこと 今日教えていただいたことをまとめたいと思います。 デザインについて まずデザインについてです。 挙筋機能が乏しいため術中に開瞼してもらい定量するのが困難です。必ず術前に眉毛直上〜瞼縁距離を測定します。 術後pretarsal showが広くなる傾向になるため、切開線は瞼縁から5mmではなく4mm程度にするのがよいと教わりました。 トンネル作成について 次にトンネル作成についてです。 眉毛上の切開から瞼縁切開創までトンネルを作成します。 まずはlayerに注意です。 眼窩隔膜下に深く入り込んでしまうとゴアテックスの緊張によりトンネル部位が盛り上がります。以前眼形成の症例検討会ラインにも写真が上がっていたと思われますが、不自然に盛り上がった嫌なまぶたになります。 じゃ浅くトンネルを作ればいいんだな!!というとそういうわけではなく、眼輪筋にあまりにも近いlayerでトンネル作成すると凹みの原因となります。眼窩隔膜内に入らないギリギリのところでトンネル作成する必要があります。手先の感覚は少しずつ習得しなければなりません。 もう一つはトンネルの広さに注意です。 瞼板に固定するゴアテックスは二股に分かれております。瞼縁側に寄るほど広く股が分かれます。そのため水平方向に広くトンネルを作成しなければ開瞼抵抗になります。広く剥離を行いましょう。 ゴアテックスの瞼板への固定について 次にゴアテックスの瞼板への固定についてです。 当院は4箇所固定しておりますが、ゴアテックスを牽引し瞼縁のアーチの形を必ず確認しましょう(自分はアーチの形が悪くやり直しをいただきました。ごっつぁんです。)。ここで注意なのが瞼板の上縁に固定することです。瞼縁に近いところで固定すると、上眼瞼外反の原因になりますのでご注意を。 次に重瞼作成を行います。 ゴアテックスの上端の固定前に必ず重瞼作成を行います。上端を固定してしまうと創の展開が困難になります。吊り上げ後は睫毛が降りて来て内反の原因になりますので必ずしっかり睫毛を立たせましょう。先天下垂の場合だとaponeurosisが萎縮していることもあり穿通枝の再建が困難なことが多々あります。瞼板もしくは瞼板前組織に固定するとより睫毛がたつかもしれません。 長くなりましたがもう少しです! ゴアテックスの上端の固定を行います。 皮下に固定を行いますが、必ず眉毛上の切開創の頭側の皮下に固定を行います。尾側に固定するとゴアテックスによる牽引のベクトルが創離開の方向に働き、肉芽形成します。かつ術前の瞼縁〜眉毛上距離よりやや短く固定します。皮膚が伸びることと術中の臥位の影響により、固定時の長さより瞼縁〜眉毛上距離が伸びることに留意が必要です。 眉毛上の皮膚はゴアテックスの牽引により離開方向にベクトルが働かないので特殊な事例以外は表皮縫合のみで十分なようです。 以上です!またいい経験ができました。みなさんに感謝です。 3度の飯より眼形成。 今日もありがとうございました!! 関連記事

2021.03.30

睫毛内反と乱生の合併について

内反と乱生について さて同じ逆さまつげでも睫毛内反、乱生、重生、眼瞼内反など色々ありますが、今回は内反と乱生についてお話したいと思います。 内反の病態は腱膜の皮膚穿通枝の脆弱・欠損が原因と言われています。 乱生の病態は眼瞼炎などが原因となり、瞼縁に微小な瘢痕生収縮が起こり同部が眼球側に引っ張り込まれ(marginal entropion)、慢性炎症を惹起することが原因と言われています。 オキュロフェイシャルクリニック東京では、上眼瞼睫毛内反については、眼輪筋とaponeurosisを固定するHotz法を行っております。 下眼瞼睫毛内反については、Lid margin splittingとHotz法を併用しております。 まだまだ手技としては未熟でスピードも遅いですが、だんだん術後の睫毛位置や重瞼が安定してきたように思います。 しかし、内反に加えて乱生・重生まで加わると手術の難易度が一気に上がります。 今回は上眼瞼内反に加え、乱生のある症例について執刀させていただきましたので紹介します。 鹿嶋先生の手をかりなんとか執刀できました。 概ねやることは上眼瞼のHotzなのですが、乱生睫毛が嫌がらせのように眼球側を向いているため改善が乏しければもう一手間加える必要があります。教科書的には毛根除去術やlid splitting without lash resection(前葉移動術)、lid splitting with lash resection(Wojno法)があるようです。 今回の症例はgray lineを超えて結膜側にまで侵入した乱生を認め、Hotz+Lid margin splittingを施行しました。 教えていただいたポイント 教えていただいたポイントが3個あります。 Hotz時に普段より強く睫毛をたたせなければならない。より高位のaponeurosisに固定し、確実に重瞼を作る。 内側が再発好発部位のため、睫毛上5mmラインを内側までしっかり切開する。(※内側は切開線が睫毛側より5mmを超えがち!) splittingにより睫毛根を必ず前葉側に残し、前葉と後葉の連続を解除し、より強く睫毛を外反させる。 今回は上記を気にして執刀させていただきました。 経過は今後のお楽しみですが、経過が悪いようであれば睫毛を前葉ごと切除してしまうWojno法が選択されるのかと思います。 睫毛ハゲになってしまい、整容的には不利になりますが最も根治生が高いと言われております。 今後も睫毛と戦い続けます!今日もありがとうございました。 関連記事

2021.03.27

専門を決めること

今日もよろしくお願いします。 ものすごく今更ですが「医龍」という漫画を読破しました。天才外科医が神がかった手術でたくさんの患者を救うといういかにもありふれた話ですが、これまた非常に面白いです。教授をトップとした旧態依然な医局制度に正面から対抗する新進気鋭のバチスタチームの構図は血湧き肉躍ります。特に研修医伊集院の成長ぶりは本当にめざましいもので自分も努力し続けなければいけないとメラメラ燃えてきました。眼科医になって一度も後悔したことはありませんが、「心臓外科医かっけぇ…俺もなる!!」と思わせるような漫画です。ぜひ一読を。 専門がない一般眼科医というのはかなり厳しい戦いになる さて今回は学んだことというよりは考えたことを書きたいと思います。 自分はまだ眼科専門医前の後期研修医の身分ですので、白内障、硝子体、緑内障、眼形成など幅広い手術を経験させていただいております。最初眼科医になってからつい半年くらい前まではなんでもできる医者がかっこいいと思ってました。しかし、今は考えがかなり変わりました。都心部の人気な医局だと毎年10人近く入局者がいるようです。既に都心部の眼科医が飽和状態の中、専門がない一般眼科医というのはかなり厳しい戦いになると思います。実際僕の医局でも専門がしっかりある先生はそれなりの地位を築いていますが、専門がない先生は学年が上でも幅広い患者を診なければなりません。 「うちは専門がしっかりある。その分野の患者に特化してきっちり治します。」 という病院の方が提供できる医療レベルも上がり、患者サイドもその病院のコンセプトがわかります。 自分が罹患した病気の専門性が高いほど、治してくれる医者を探すのはめちゃくちゃ大変です。〇〇大学の□□先生が名医らしいと口コミレベルで聞いて、藁にもすがる思いで3時間も4時間も待つ患者はたくさんいます。しかし、実際会ってみると提供できる医療レベルが満足に足るものでなかった…と徒労に終わることも少なからずあると思います。 そういう患者の方々のために、大学よりも受診するハードルが低く、かつ大学よりも専門性が高いことができるクリニックができたら眼科医の生存競争の中では相当抜きん出ることができると思います。「なんでもできるけどなんにも専門はない」よりは「これしかできないけどこれだけは任せてくれ!」というジョブ型雇用式の方が今後生き残る可能性は極めて高いです。 自分も一刻も早くそうなりたいので専門医になる前から眼形成の専門性を高め、牙を研いでおります。 「何言ってんだこいつ」と思いながらでもいいので少しでも応援していただけたら幸いです。 話は変わりますが、この前涙道通水をさせていただいた患者様から「痛かった!」とクレームが入りました。涙小管構造を考えて通水針を挿入しないと当然ですが痛いです。涙道チューブ挿入時は上下涙点部皮下麻酔+滑車下神経ブロック+鼻涙管周囲の麻酔をしなさいと教わりました。今回のことを機に涙道解剖について勉強してみましたが、下記の文献はものすごく勉強になりました。機会があれば読んでみてください。その次に「医龍」もお願いします。 柿﨑裕彦:涙道の解剖 敵を知り己を知れば百戦危うからず!臨眼 70(10):1542‒1547, 2016 関連記事

2021.03.18

亀田総合病院での眼形成手術開始準備について

今日もよろしくお願いします。 先日ボスベイビーという映画を観ました。Amazon primeで観れます。 ほんっっっっっっっとうに赤ちゃんが欲しくなる映画です。ものすごく可愛いです。ただただ身悶えするほど可愛いです。自分は未婚で、当分結婚の予定がないことが本当に悔やまれる映画です。ぜひ一度観てみてください。 自分の近況について さて今日は自分の近況について話したいと思います。 自分は月〜金で亀田病院で一般眼科医として働き、白内障手術、硝子体手術、緑内障手術を、土曜日は鹿嶋先生のところで眼形成手術を執刀させて頂いております。当然ですが眼形成が一番楽しいです。 自分も少しずつ鹿嶋先生の元を離れて一人で執刀するようにならなければなりません。 最低限の基礎を叩き込んで頂いてから一人で頑張って冷や汗を流しながら執刀する方がきっと成長することと思います。 加えて、亀田総合病院で新しい手術ができるようになれば部長にも恩返しできるため一石二鳥です。 しかしいざやるとなると物品の準備や同意書の用意、看護師指導などたくさんのことが必要になります。 麻酔ひとつとってみても2%キシロカインE入りを安直にただ使うのか、メイロンやアナペインを用いて注入時、術後により痛くないようにやるのか、鎮静をやるのか、自分で決めてやるとなるとなかなか難しいものです。 先日20歳女性の友人が某病院形成外科で上睫毛内反手術をして、手術が終わった後会ってみたのですが「術後死ぬほど痛い…動きたくない…」と言って泣いてました。 鹿嶋先生の病院ではキシロカイン+メイロン+アナペインで麻酔しており、今まではそれに対してあまり大きな疑問を持っていませんでしたが、この経験があり「術後鎮痛…必ずやろ…」って確信しました。自分や自分の友人家族が経験したことってダイレクトに肥やしになります。 麻酔薬に関しては鹿嶋先生の教科書とツカザキ病院の野口三太郎先生の講演は非常に勉強になりました!! 一読をお勧めします。 脂肪切除についての注意点 少し話は変わりますが、以前何回か脂肪切除について書きましたがが、今回も追加で注意されたことを2つ書きます。 1つ目です。脂肪減圧時に下眼瞼の眼窩脂肪をとりすぎると下まぶたが凹みます。脂肪がない方が美しいと以前のブログに書きましたがなさすぎると今度は貧相な顔になります。加減って難しいです。こればっかりは教科書にも書けない経験的な内容なのだと思います。 2つ目です。上眼瞼手術時に眼窩脂肪はすぐ切り取るのではなく、周囲の被膜をしごくように鈍的に剥離し切除した方がよいです。脂肪には血管がないですが、被膜には血管があり出血の原因になります。また、被膜を残しておくことで癒着による予定外重瞼線を予防できます。 あんなにラーメンにかけていた脂肪にここまで悩まされるとは想像だにしませんでした。 今日もありがとうございました。 関連記事

2021.03.08

まぶたの脂肪について

今日もよろしくお願いします。 おかげさまで昨日冷凍ラーメンが届き、本日帰宅後に「蒙麺火の豚」という店のラーメンをすすらせていただきました。 二郎系ラーメンの上に蒙古タンメンを彷彿とさせる旨辛麻婆餡が乗ったとんでもないラーメンです。 餡は少し辛めですが、二郎系のワシワシ麺との絡みが最高です。 スープは相当脂っこいのかと思っていたのですが、いくらすすっても飽きの来ない飲み過ぎ注意のスープでした。 安心してください。しっかり朝昼ご飯は抜いております。 まぶたの脂肪について さて2回目になりますが、また「まぶたの脂肪について」です。 先日はだいぶ脂肪の多い上眼瞼のblepharoplasty+ROOF切除+眼窩脂肪切除を執刀させていただきました。 人によりwhite lineの高さは全然違うので一様に眼窩脂肪を剖出させるのは僕にはまだ困難を極めます。 そんな中、鹿嶋先生より「この人ROOFもとってね❤️」と執刀日の朝に指示がありました。 眼窩脂肪どこ??って僕からするとROOF切除はさらに難しいです。 ROOF(retro-orbicularis oculi fat)はそもそもどこにあるのか。どういう機能があるのかpubmedで調べてみると2020年のDalian Medical Universityの論文で38体の片側の解剖体のROOF構造についてまとめてありました。 この図のRにあたるところです。 Ma XD, Chun P, Zhang C, et al. Investigation of retro-orbicularis oculi fat and associated orbital septum connective tissues in upper eyelid surgery. Ann palliat Med 2020 Nov; 9(6) この論文でのgoogle翻訳では「アジア人の二重眼瞼手術では、上眼瞼の機能効率と外観を改善するためのベースライン手段として、腱膜の位置を固定し、腱膜の前部の脂肪量を減らすことが考えられています」と書いてあります。 やはり以前もブログに書いたように上眼瞼の脂肪はとった方が機能的にも美容的にもいいのだろうなと思います。 ROOF切除時に指導していただいた項目について ROOF切除時に指導していただいた項目についてまとめたいと思います。 ①眼輪筋側と②眼窩隔膜側に一層ずつ被膜残すように切除することです。 ①眼輪筋側 眼輪筋側に切り込みすぎると、眼輪筋とaponeurosisに予定外の癒着を作り、予定外重瞼線の原因となります。 ②眼窩隔膜側 眼窩隔膜側に被膜を残さず全て切除してしまうと、これまたaponeurosisに予定外の癒着を作り、挙筋機能に影響が出ることがあるようです。スプリング剪刀でチョキチョキ切るというよりは「こそぎ切る」ように切除すると癒着もなく綺麗にROOFが切除できます。 あとは眼窩脂肪の時と一緒ですが、ROOFを引っ張ると眼窩の上方rimに牽引がかかり疼痛の原因となりますのでしっかりrim付近に麻酔を追加するようにします。 スッキリしたまぶたを目指して今日も奮闘します。 今日もありがとうございました。 関連記事

2021.02.28

眉毛挙上術(Eyebrow Lifting)について

眉毛下垂に対する眉毛挙上術について さて本日は「眉毛下垂に対する眉毛挙上術について」です。 鹿嶋先生は本当にたくさんの手術を執刀させてくれます。一度もやったことがない手術でも当日の采配で執刀することになります。絶対に予習復習が欠かせないです。しかし自分は優秀な方ではないので予習はだいたいの場合不十分です。 実際に執刀して覚えることの方が9割以上を占めます。 少ない予習の知識で頑張って手術します。オペ時間が押して背筋のひりつく中でなんとか手術を終えられた時の爽快感といったら、ビールなんて相手にもならないです。 昨日眉毛挙上術を執刀させていただきました。眉毛挙上術といえば一番に思い浮かべるのは顔面神経麻痺による眉毛下垂かと思います。他には額の広い高齢男性にも適応があるようです。 実際に執刀して直面した課題について 正直眉毛下皮膚切除より難しかったです。実際に執刀して直面した課題について2つ挙げたいと思います。 創部にかかるtensionが強いこと 1つ目は創部にかかるtensionが強いことです。 眼輪筋は横方向に筋繊維が走っているため、眉毛下皮膚切除では創にあまりtensionがかからないです。前頭筋は縦方向に筋繊維が走っているため創部へのtensionがより強くかかります。しっかり創をevertして寄せないと創離開、瘢痕形成や創の陥没の原因になります。術中に何度も鹿嶋先生、土井先生に御指導を受けました…。 より綺麗な創を作るために、下記のように皮膚切開の角度を工夫したり、真皮縫合時にハート形に運針したり、連続縫合時に皮膚に対して直角に通糸するなどを気をつけなければなりません。皮膚を切って縫うだけと言えばシンプルな術式かもしれないですが、形成外科的な技術が凝縮された腕が出る術式と言えると思います。 シンプルを極めればピュアになる。 すいません。言ってみたかっただけです。 デザインについて 2つ目はデザインについてです。 下記のデザインが最も一般的かと思います。 村上 信五, 横田 誠:顔面神経麻痺に対する整容術.耳鼻咽喉科・頭頸部外科 81巻 5号 pp. 146(2009年04月) ただ上記のデザインだと上辺と下辺の長さが違うため、縫合時に上辺の皮膚が余りがちです。鹿嶋先生からは平行四辺形になるようなデザインでやるといいと教わりました。三日月型ではなく平行四辺形だと上辺と下辺の皮膚の長さが同じになるため縫合時にはdog earにならずぴったり皮膚が合いました。一度お試しください。 眉毛挙上の方法について、pubmedでnarrative reviewを見つけました。全然知らなかったですが、眉毛下垂への治療法はボトックスやフィラー注入などの侵襲の少ない方法から、頭皮をずばぁーーーーーーっと切って額の皮膚を持ち上げる恐ろしい術式まで色々な方法があるようです。興味があれば下記のリンクから見てみてください。 白内障手術のCCCと違って眼形成手術の切開創は患者からモロに見えます。そこが楽しいところでもあり辛いところでもあります。昨日のオキュロフェイシャルクリニックの勤務は非常にエキサイティングでしたが、その分疲労がどっと込み上げてきました。そっとラーメンの注文ボタンをクリックしたいと思います。すいません鹿嶋先生。 今日もありがとうございました! 関連記事

2021.02.14

眼窩脂肪切除

今日もよろしくお願いします。緊急事態宣言辛いですね。夜遅くまで飲み明かしたいです。 僕は一般公務員の家庭で生まれですので、舌は庶民派です。 居酒屋でのあん肝ポン酢や明太子の入った卵焼きとかたまらないです。 2次会でカラオケに行って「3分の1の純情な感情」とか「愛のかたまり」とか「世界が終わるまでは」とかを歌いたいです。 眼窩脂肪について さて今日は眼窩脂肪についてです。 Orbitaを弄らない人からすると眼窩脂肪は未知ですよね。グイグイひっぱれば痛いし神経傷つけるかもしれないしであんまり触りたくないのが心情です。僕はまだまだ怖くて術中に「ひぃぃぃ!!」ってなり鹿嶋先生の手を借りてしまうことばっかりです。 オキュロフェイシャルクリニックで働いていると、見た目を治したい人が多く来ます。 色々な意見があると思いますが、眼窩脂肪が多い眼瞼はあまり美しくないです。 お腹のお肉と一緒で脂肪はない方がスマートで美しいです。 最たるものは甲状腺眼症かと思います。飛び出た眼球はぱっちりおめめではなく、美しいとは程遠い目です。 眼窩脂肪切除の注意点 眼窩脂肪を切除するときによく2つのことを注意を受けます。 1つ目が眼窩内にしっかり麻酔を効かせることです。 眼窩内に入ると知覚神経が眼瞼とは異なるので、脂肪を操作するときに眼窩内を麻酔しておかないと患者さんを痛がらせてしまいますのでしっかり眼窩内を麻酔してあげることが重要かと思います。友人で別の病院で逆さまつげの手術を受けた人がいますが、「麻酔があまり効かなくて本当に痛かった。特に術後。2度と受けたくない。」と言っていました。自分が執刀させていただく方にはそういう思いをさせたくないです。(まだまだ痛いと言われますが…) 2つ目が切り取るときは血管をしっかり焼灼することです。 脂肪を切り取るときに血管を焼灼しないで切除すると結構血が出ます。しかも脂肪は切り取ると眼窩内に引っ込んでしまうので止血がかなり困難でした…。手際が悪かったです。しかも眼窩内出血があると術後パンダみたいな内出血が起こります。結構見た目も悪いので今後は気をつけようと思います。 止血、麻酔ともに外科医の基本です。まだまだですが、色々なパターンを学んで今後も全力で取り組みます! 日々楽しいです!今日もありがとうございました! 関連記事

2021.02.08

スーパードクターへの道について

今日もお願いします。1週間毎に書くと言いましたが、今日は昨日の内容に追記です。 恥ずかしいですが、改めてこのブログについてご説明させていただきます。 だんだん内容を増やしていきますが、このブログは昨日書いたことを含めて自分が実際に痛い目をみて頭を悩ませた内容を書き綴っています。第1回目では「学んだことや経験したこと」と書いてますが、偉そうなことを言いながら実際の内容に関しては高尚な座学で学習したこと…ではなく手術をやってみて上司に注意されたことを自分の忘備録もかねて書いています。 眼形成の分野は本当に専門家が少なく、僕のいる千葉県の南の方には「うちは専門でやってますよ!」というところは知る限り存じ上げないです。(「おいおい俺のことを知らねぇのかよ!」という先生がいらっしゃったらすいません!!) その結果、普段の診療とは別にこのコロナ禍に休みの日に朝4時起きで銀座へ出向き研修させていただいてます。 お世話になった方々にはとても感謝しております。 実際探してみるとなかなか教科書もなく、眼瞼眼窩の解剖の本ですらそうそう見つからないです。 座学で勉強できることって本当に限られていて、術前には「よし!しっかり学べているぞ!」っていうつもりでも実際にやってみると「どこまで切る?」「どこまで糸をかける?」「深さは?長さは?」などわかっていないことがたくさんです。 上司に怒られて冷や汗をかきながらなんとかゴールへ向かっている。今はそんな状態です。 (余談ですがその夜上司のお金で銀座の美味しいお寿司を食べに行っています…腹が立った方は中指を立てて頂いて結構です…) まだまだスーパードクターへの道は全然先が見えないですが、「結構遠くまで来たんだな…」といつか思える日がくることを信じて進んでいきたいと思います。これからもよろしくお願いします! 関連記事

2021.02.07

美しい睫毛内反手術のために

今日もよろしくお願いします。 だいたい週1回で書くのが今のライフスタイルには合っているようですので当面はそのくらいの頻度で書きます。 よければお付き合いください。 上眼瞼睫毛内反+重瞼形成について 今日は上眼瞼睫毛内反+重瞼形成について書きます。 眼形成外科医としておそらくかなり序盤に経験する手術かと思います。 とは言うものの確実にできているかと言われたら…甚だ疑問です。 睫毛がたつのは最低条件として綺麗な重瞼を作ってあげたいです。 綺麗な重瞼を作る上で、最近学んだこと そうなるために最近学んだことを2つ書きます。 教科書にはこういうことなかなか書いてなくて答えを探し奮闘する日々です。涙 1.眼輪筋切除について 1つ目は眼輪筋切除についてです。 過去の報告によると皮膚切除+眼輪筋切除は睫毛内反の再発率を下げると言われております。 (Choo, C.T., et al. : Surgical management of upper eyelid epiblepharon. Eye. 12 : 623-626. 1998.) 眼輪筋は確かに切除した方がよいと思うのですが切りすぎも良くないんです。 これはやってみないと全然わからないことでした。(とほほ…) 睫毛上で皮膚切除を行いますが、切開線直下の眼輪筋を切り込みすぎると切開線直下に重瞼ができません。 また真皮を広くすくいすぎるのも切開線直下で重瞼ができません。 眼輪筋の切りすぎは注意です! 2.眼輪筋と挙筋腱膜との固定について 2つ目は眼輪筋と挙筋腱膜との固定についてです。 Hotzを行うときに僕は挙筋腱膜と眼輪筋を縫合し、穿通枝を再建します。 挙筋腱膜に糸をかけるときに本当にそれが挙筋腱膜なのか、良くわからない時が多々あります。 挙筋腱膜上にある薄い皮膜、はたまた眼窩隔膜に糸をかけているのか… しっかり腱膜に糸をかけないと術後内反が再発します。 そうならないために 眼窩隔膜をあけてwhite lineをしっかり確認して腱膜に糸をかける 上記をしっかり行うのが確実なのだと思います。 しっかり睫毛をたたせて綺麗な重瞼を作る。まずはここから確実にできるように頑張ります! 今日もありがとうございました。 関連記事

診療時間
8:15〜17:15 - -

[休診日]月曜・日曜・祝日
※当院の診療は完全予約制になります。

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